
下水道技術検定3種を勉強していると、法規や水処理の暗記に時間を使いがちです。
しかし、合格を狙うなら計算問題を捨てるのはおすすめしません。
計算問題は苦手意識を持たれやすい分野ですが、出題されるパターンはある程度決まっています。公式と単位換算に慣れてしまえば、暗記問題よりも安定して得点しやすい分野です。
この記事では、下水道技術検定3種で最低限おさえておきたい計算公式と、間違えやすいポイントを整理します。
計算問題を捨てると合格が遠くなる理由
下水道技術検定3種は、多肢選択式で60問出題されます。
合格基準点は年度によって変わりますが、過去には60問中40問台前半が合格ラインになることが多く、余裕をもって合格するには「取れる問題を確実に取る」ことが大切です。
特に計算問題は、次のような特徴があります。
- 公式が決まっている
- 単位換算のパターンが少ない
- 選択肢から桁を確認しやすい
- 暗記問題よりも知識のあいまいさに左右されにくい
つまり、最初は難しく見えても、慣れれば得点源になります。
特に、HRT、BOD負荷、BOD容積負荷、BOD汚泥負荷、SVI、返送比、除去率は優先して覚えておきたいところです。
計算問題で最初に見るべきポイント
計算式を覚える前に、まず意識したいのが単位です。

m3/日 × mg/L ÷ 1000 = kg/日は、BOD負荷やSS負荷の計算でよく使います。
下水道技術検定3種の計算問題では、公式そのものよりも単位換算で失点することがよくあります。
特に注意したい単位は次の通りです。
- m3/日
- m3/時
- mg/L
- g/L
- kg/日
- %
例えば、BOD濃度がmg/Lで、水量がm3/日で与えられている場合、BOD負荷は次のようにkg/日に変換します。
m3/日 × mg/L ÷ 1000 = kg/日
この変換はかなり重要です。
計算問題では、まず単位をそろえてから公式に入れるようにしましょう。
HRTの計算式
HRTは、水理学的滞留時間のことです。
流入した水が、池や反応タンクの中に平均してどれくらいの時間とどまるかを表します。

HRTは「タンク容量を流入水量で割る」と考えると理解しやすいです。
基本式は次の通りです。
HRT(日)= 池・タンク容量(m3)÷ 流入水量(m3/日)
時間で答える場合は、24をかけます。
HRT(時間)= 池・タンク容量(m3)÷ 流入水量(m3/日)× 24
例えば、反応タンク容量が1,200m3、流入水量が4,800m3/日の場合、
1,200 ÷ 4,800 × 24 = 6時間
となります。
HRTは、容量を水量で割るだけです。水量がm3/日で出ている場合は、最後に24をかけて時間に直すと覚えておきましょう。
BOD負荷の計算式
BOD負荷は、1日に流入してくるBODの量です。
BOD負荷(kg/日)= 水量(m3/日)× BOD濃度(mg/L)÷ 1000
例えば、水量が2,000m3/日、BOD濃度が180mg/Lの場合、
2,000 × 180 ÷ 1000 = 360kg/日
となります。
ここで大切なのは、mg/Lをkg/日に直す感覚です。
m3/日 × mg/L ÷ 1000
この形は、BODだけでなくSSなどの負荷計算でも使います。
BOD容積負荷の計算式
BOD容積負荷は、反応タンク1m3あたりに、1日どれくらいのBODがかかっているかを表します。

BOD容積負荷は、先にBOD負荷を出してから反応タンク容量で割るとミスが減ります。
BOD容積負荷(kg/m3・日)= BOD負荷(kg/日)÷ 反応タンク容量(m3)
例えば、BOD負荷が360kg/日、反応タンク容量が1,200m3の場合、
360 ÷ 1,200 = 0.30kg/m3・日
となります。
いきなり式に入れるよりも、先にBOD負荷を求めてから、反応タンク容量で割るとミスが減ります。
BOD汚泥負荷の計算式
BOD汚泥負荷は、活性汚泥1kgあたりに、1日どれくらいのBODがかかっているかを表します。
F/M比、BOD-SS負荷、BOD-MLSS負荷と呼ばれることもあります。
基本式は次の通りです。
BOD汚泥負荷 = BOD負荷(kg/日)÷ 反応タンク内MLSS量(kg)
反応タンク内MLSS量は、次の式で求めます。
反応タンク内MLSS量(kg)= 反応タンク容量(m3)× MLSS(mg/L)÷ 1000
例えば、反応タンク容量が1,200m3、MLSSが3,000mg/Lの場合、
1,200 × 3,000 ÷ 1000 = 3,600kg
BOD負荷が360kg/日なら、
360 ÷ 3,600 = 0.10kg-BOD/kg-MLSS・日
となります。
なお、F/M比では微生物量としてMLVSSを使う考え方もあります。ただし、下水道技術検定3種の計算問題では、問題文にMLSSが与えられている場合はMLSSを使って計算します。
試験では、問題文で指定された数値を素直に使うことが大切です。
SVIの計算式
SVIは、汚泥容量指標のことです。
活性汚泥の沈みやすさを表す指標で、数値が大きいほど沈みにくい汚泥と考えます。

SV30が30%なら、式には30を入れます。0.30ではありません。
基本式は次の通りです。
SVI(mL/g)= SV30(mL/L)÷ MLSS(g/L)
SV30が%で与えられている場合は、次の式が使いやすいです。
SVI(mL/g)= SV30(%の数値)× 10000 ÷ MLSS(mg/L)
ここで注意したいのは、SV30が30%なら「30」を代入することです。
「0.30」を入れると間違います。
例えば、SV30が30%、MLSSが3,000mg/Lの場合、
30 × 10000 ÷ 3,000 = 100mL/g
となります。
SVIは、バルキングなどの運転管理の問題とも関係します。計算式だけでなく、「SVIが高いほど汚泥が沈みにくい」という意味もセットで覚えておきましょう。
返送比の計算式
返送比は、流入水量に対して、どれくらいの返送汚泥を反応タンクへ戻しているかを表します。

返送比は「返送汚泥量 ÷ 流入水量」。濃度から求める場合は、分母を返送汚泥濃度 - MLSSにします。
基本式は次の通りです。
返送比 = 返送汚泥量 ÷ 流入水量
百分率で答える場合は、100をかけます。
返送比(%)= 返送汚泥量 ÷ 流入水量 × 100
また、MLSSと返送汚泥濃度から返送比を求める問題では、次の式を使うことがあります。
返送比 = MLSS ÷(返送汚泥濃度 - MLSS)
例えば、MLSSが2,000mg/L、返送汚泥濃度が8,000mg/Lの場合、
2,000 ÷(8,000 - 2,000)= 0.333
つまり、返送比は約0.33です。
百分率にすると、
0.333 × 100 = 約33%
となります。
この式は、流入水中のSSや処理水中のSSを無視できるものとして考える近似式です。試験対策としては、同じ単位のMLSSと返送汚泥濃度を使い、分母を「返送汚泥濃度 - MLSS」にする、と覚えておきましょう。
除去率の計算式
除去率は、流入した汚濁物質がどれくらい取り除かれたかを表します。
除去率(%)=(流入濃度 - 流出濃度)÷ 流入濃度 × 100
例えば、流入BODが160mg/L、放流水BODが16mg/Lの場合、
(160 - 16)÷ 160 × 100 = 90%
となります。
除去率の問題は比較的取りやすいので、確実に得点したいところです。
計算問題の勉強法
計算問題は、いきなり過去問を解くだけではなく、まず公式を整理するのがおすすめです。
効率のよい流れは次の通りです。
- 用語の意味を確認する
- 公式をまとめる
- 単位換算だけを練習する
- 過去問で同じ型の問題を探す
- 間違えた問題だけを解き直す
特に大事なのは、公式を丸暗記するだけで終わらせないことです。
HRTなら「水がどれくらい滞留するか」。
BOD容積負荷なら「反応タンク1m3あたりのBOD負荷」。
BOD汚泥負荷なら「活性汚泥1kgあたりのBOD負荷」。
このように、式の意味まで理解しておくと、少し形を変えた問題にも対応しやすくなります。
本番での解き方のコツ
試験本番では、次の順番で確認するとミスを減らせます。
- 問題文の単位を確認する
- 公式に入れる前に単位をそろえる
- 選択肢を見て桁を確認する
- 計算が重い問題は後回しにする
計算問題で一番もったいないのは、公式は合っているのに単位換算で間違えることです。
特に、mg/L、g/L、kg/日、m3/日はよく確認しましょう。
また、多肢選択式なので、選択肢からおおよその桁を判断できることがあります。細かい計算に入る前に、「答えは0.1くらいなのか、10くらいなのか」を見ておくと、ミスに気づきやすくなります。
まとめ
下水道技術検定3種の計算問題は、苦手な人ほど後回しにしがちです。
しかし、出題される計算式はある程度決まっており、公式と単位換算をおさえれば十分に得点源になります。

試験前日は、この公式一覧を見直すだけでも効果があります。
最低限おさえておきたい公式は次の通りです。
HRT(時間)= 容量 ÷ 流入水量 × 24
BOD負荷 = 水量 × BOD濃度 ÷ 1000
BOD容積負荷 = BOD負荷 ÷ 反応タンク容量
BOD汚泥負荷 = BOD負荷 ÷ 反応タンク内MLSS量
SVI = SV30(%の数値)× 10000 ÷ MLSS
返送比 = MLSS ÷(返送汚泥濃度 - MLSS)
除去率 =(流入濃度 - 流出濃度)÷ 流入濃度 × 100
計算問題をすべて完璧にする必要はありません。
まずは、過去問でよく出る型だけを繰り返し、確実に取れる問題を増やしましょう。
「計算は苦手だから捨てる」ではなく、「よく出る計算だけは取る」という方針で勉強するのがおすすめです。
関連記事として、下水道技術検定3種の全体的な勉強方針はこちらの記事も参考にしてください。用語の確認には下水道技術検定・用語集もあわせて使うと効率的です。